Ricochet

音楽ものレビュー、雑談用のブログです。2019/2/24開始。

ヘルベルト・ブロムシュテット ベートーヴェン・チクルス完結の交響曲7、8番

オーチャード定期・ベートーヴェン8番&7番、行ってきました。数日前のサントリーホール公演での口コミは事前に見ないように注意して、と(笑)。コンマスは篠崎マロさん。

まずは8番、個人的にも大好きな曲。そして、この作品が7番と9番にはさまれた、こじんまりとした小品、というような意見が昔から全く気に入らない。7番は、リズムの神化といわれたりするが、8番も7番以上にリズムのエッセンスを凝縮した、エキサイティングな曲だと思っているけど、実際にはわりとこじんまりとしてしまう演奏もよくある。その点、巨匠の8番は、瑞々しい弾力性に富んでいて、弦の細かな刻みにも躍動感が感じられる。べートーヴェンの要求するテンポと、演奏のクリアさとの両立はなかなか難しいみたいで、この辺りは結構論議の対象になるみたい。テンポをゆるめると、こじんまりとしやすくなるし、快速(要求されるテンポ)になると演奏が雑になるリスクがある。4番の時も思ったけれど、巨匠が振ったゲヴァントハウス盤も今回のN響も、そのあたりのバランスがかなり配慮されていると思った。

7番は腰のしっかりとしたスケールの大きな演奏。指揮台での動きはかなりシンプルだし、これ見よがしな誇張もないけれど(歌心はある)自然にクライマックスを生み出していく。ゲヴァントハウス盤よりも情熱的に聴こえた。フィナーレも奔放に鳴って終わり、満足しました。

これで2015年からの長きに渡った、ベートーヴェンチクルスも終わりました。感慨深いものがありますが・・・個人的にはバンベルクとの田園を逃したのが悔やまれます。秋にN響とのBプロでまた田園をやりますので、そこになんとか参加できれば、やっと自分の中でチクルスを完結できる気がします(この際、一連の流れでN響と5番だけやらないことになるので、来年改めて5番を取り上げて戴く、というのもいいかも)。

なお、ブロムシュテット 巨匠はこのたび、めでたく「旭日中綬章」を受賞されたようです。