Ricochet

音楽ものレビュー、雑談用のブログです。2019/2/24開始。

エリアフ・インバル&都響のブルックナー交響曲2番

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ブルックナー交響曲の中でも、2番というのばビミョーな位置づけでしょう。3番以降の圧倒的な完成度・威容にはまだ足りない部分があるし、1番のような荒削りながら野性的な魅力にもやや欠ける面がある。そもそもブルックナー指揮者と言われる巨匠達でも2番以前は振らない人もいるし、かなりマニアックなリスナーでもスルーしている場合もあるようです。

そんな中、2番の名演として名高いのが、インバルがフランクフルト響を振った1988年の録音でしょう。個人的にも、この1枚で2番の魅力に目覚めました。

その2番を再び取り上げた都響とのこの録音、自分自身2011年5月東京文化会館の実演に立ち会いましたが、まさしく目から鱗の名演でした。色々曲自体の制限がある中で、この2番を最大限工夫して、聴かせるレベルに持ってきたのがフランクフルト響盤だとしたら、さらにブラッシュアップして2番を、じつに3番以降とかわりないクオリティを持つ曲にまで響かせてしまったのが、都響盤だといえると思います(ご本人のインタビューを読む限り、演奏会に臨むにあたって、あまり過去の録音内容との比較にはこだわっていないようですが)。

ちなみに、インバルによって鍛えられた都響が、そのベースをもとに、2014年9月、小泉和裕氏と共に再び取り上げた2番は、よりダイナミックな起伏に満ちた名演となったのも記憶に新しいです。