Ricochet

音楽ものレビュー、雑談用のブログです。2019/2/24開始。

マリア・シュナイダー来日公演@ブルーノート東京

7日、8日と、マリア・シュナイダーの来日公演に行ってまいりました。

僕は、近年のジャズ方面はあまり得意でなく、あのデヴィッド・ボウイ晩年の"Sue"への参加ではじめて彼女を知り、遅まきながら最新作 "The Thompson Fields"を聴きました。クラシックの印象派系の影響も感じさせる美しい作品で、ライヴも大変良かったのです。でも、ボウイの晩年との音楽的関連は正直、あまりピンときませんでした。ライブでもいくつか演奏された90年代のファーストアルバムのナンバーの方が、音的には"Sue"にいくぶん近そうですが、ボウイがマリアを起用した背景はよくわからないなあ、でも音楽が素晴らしいからいいか、などと思いつつ、生演奏を堪能しておりました。

しかし・・・。
初日のファーストステージでの最後、新曲が披露され、それは最近とみに話題の"AI"をテーマにしたナンバー。近未来、人口知能がますます発達し人間の役割を肩代わりし、最終的には人類を滅ぼすに至る、というストーリーらしいです。この曲が、今までのマリアにはないダークな深みを持った音で、ボウイの遺作、★ブラックスターの音世界にかなり近いかも、と思わせる斬新さを感じさせました。

ブルーノートのフリーペーパーのインタビュー記事に、マリアの興味深い発言がありましたので、以下、引用させていただきます。

「あのころはちょうど、"The Thompson Fields"をミックスしていた時期だった。出来上がった"Sue"を聴いたあとに自分のアルバム作業に戻ったとき、なんだか拍子抜けしちゃったのよ。"Sue"がダークでミステリアスなのに比べ、自分のアルバムはなんてのどかなのかしらって。焦ってデヴィッドにそう言ったら、彼がこう返信してきたの。『ということは、僕との経験が君を真っ逆さまの新しいどこかに誘ったんだね。それなら僕達の仕事は大成功、完了だ』」
 

その後しばらく作曲活動を休んでいた彼女は、自分が作りたい音楽が以前とは違うダークなものに変わっていたそうです。ボウイからの影響は、計り知れない、とも。これらの彼女の発言、★に参加したダニー・マッキャサリンがメンバーにいること、また今回披露された新曲を実際に体験して、マリアの次のアルバムは、ボウイファン的にも要注目の一枚となりそうだと思いました。

来日公演はまだ明日11日まで続いていますが、もう完売のようですね・・・。

 

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