Ricochet

音楽ものレビュー、雑談用のブログです。2019/2/24開始。

ストラングラーズ “Feel It Live”

2012年初頭の『Giants』リリースに伴うツアーから収録されたストラングラーズのライヴアルバム。

ストラングラーズのライヴ盤には共通して大きな特徴があって、過去のおなじみの曲が、根本的なスピリットはそのままに、ライヴ収録時のその時々の方法論に合わせて、進化した形で演奏されていることだろう。たとえば、「X‐CERTS」であれば、ファーストやセカンドからの曲が、「ブラック&ホワイト」のようなヘヴィネスを突き詰めた、一段と重い音に変貌していた。また、「All Day & All Of The Night」であれば、オーラル・スカラプチャーズやドリームタイムに見られる、芸術性の高い独特の美意識が透過されたことで、スタンダードなナンバーに新しい魅力をもたらしていた。

前置きが長くなったが、今回の「Feel It Live」は、彼らが様々な変遷を経て4人編成に戻った上でのライヴである。スケールアップした上で原点回帰した傑作、SUITE16やGiantsなどにおけるテンションが、そのまま過去の曲にも反映されている。だから、曲順がおなじみのサムタイムス→新曲ジャイアンツ→またおなじみのピーチズ、→新曲Mercury Rising→5 Minutesと順番に展開されていっても、何の違和感もない。また過去の曲も新たな新鮮味を持って響いてくる。これはバズ・ワーンが完全にバンドに溶け込んでいることも大きい。選曲も非常に工夫されていて、「これをライブ盤で聴いてみたかったんだよ」というナンバーが、ばっちり入っていたりする。

惜しむらくは、全体的に音がややドライに収録されているのと(それはそれで各パートをクリアに聴きやすいメリットはあるが)、客席の盛り上がりが、ミックスバランス的にかなり弱められてしまっている、といったところか。

現状、国内盤が出るムードにないのは非常に残念なところではあるが、特にストラングラーズからご無沙汰してしまっている方々には、おすすめの一枚。

 

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01. Waltz In Black
02. Burning Up Time
03. The Raven
04. Lowlands
05. Hanging Around
06. Unbroken
07. Time Was Once On My Side
08. Sometimes
09. Giants
10. Peaches
11. Mercury Rising
12. 5 Minutes
13. Relentless
14. Lost Control
15. Something Better Change
16. Freedom Is Insane
17. No More Heroes
18. Boom Boom
19. Nice ‘N Sleazy
20. Duchess
21. Tank