Ricochet

音楽ものレビュー、雑談用のブログです。2019/2/24開始。

ベルナルト・ハイティンク引退報道について

今年で90歳を迎えた巨匠指揮者のベルナルト・ハイティンクが、今年の9月をもって引退すると表明したらしい。

ハイティンクの実演は2度体験している。2013年の横浜みなとみらいホールロンドン交響楽団とのブルックナー交響曲第9番ほか、2015年ミューザ川崎での同じくロンドン響とのブルックナー交響曲第7番ほか、となる。

横浜でのブルックナー9番は、本当に素晴らしい演奏だった。まさに大宇宙が鳴動する、という表現が全く大げさではない、この世のものとは思えない超絶名演だった。自分の中での、このブル9番での決定的決定版であり、どの部分の解釈がどうとかの能書きなど一切必要ない、一生ものの体験となるだろう。

この時の前半プログラム、やはり昨年引退したマリア・ジョアン・ピリスベートーヴェンピアノ協奏曲2番も、これまた繊細で素晴らしい名演だった。

 

2015年、川崎でのブルックナー7番も本当にいい演奏会だった。しかし、9番のときのような超常的な凄みを感じるまでには行かなかった。彼のような巨匠指揮者の場合、通常は数年先までスケジュールが埋まっている(意思を明確にしない限り放っといてくれない)らしい。となると、今年2019年での引退を決意したのは、実はこの2015年当時の少し後なのでは?と思うと、色々と複雑な気持ちになってしまう。

ハイティンク巨匠の引退は残念であるが(最後に今一度来日公演が実現して欲しかったが・・・せめて落ち着いたら、来日講演会が実現されるといいのだが)今後は、いつかちゃんと聴こうと思っていたショスタコーヴィチの全集も勉強したい。
これで現在、90代を超えてなお、意気軒高な活躍ぶりを見せる指揮者は、もはやヘルベルト・ブロムシュテットくらいだろうか。

 

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