Ricochet

音楽ものレビュー、雑談用のブログです。2019/2/24開始。

クラフトワーク2019来日公演・大阪フェスティバルホール

クラフトワーク2019来日公演・4/22大阪フェスティバルホール、行ってまいりました。
東京オーチャードホール4公演分のチケットは出遅れて完売、入手できなかったので。

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前回の単独来日は2013年赤坂ブリッツ×8公演(各日順番に、8枚のアルバムを完全再現ライヴ)、うち2公演行った。翌2014年はサマソニで再来日しているが、こちらは行ってない。

2013年の各アルバム完全再現ライヴだが、1970-80年代オリジナルアルバムのアレンジを「そのまんま」忠実に再現する訳ではなく、随所に改良・ブラッシュアップが施された、現在進行形でのクラフトワークを聴かせたのが大きな特徴であった(リミックスアルバムのアレンジとも異なる)。

加えて、この時も3-Dメガネが入場時に配布された。このメガネをかけると、バックスクリーンの映像を立体化して視ることができる。彼らの曲に出てくる、アウトバーンを走るフォルクスワーゲンやヨーロッパ特急が、ステージを飛び越えて眼前にせり出してくる。”Spacelab”

での、宇宙船がこちらの顔に突き刺さらんばかりと迫って来る演出などには、場内で驚きの声が上がっていたものだ。

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さて、今回の公演、サウンド、ヴィジュアルは前回2013版をサウンド、ビジュアル共基本的なベースにしていると思われる。だが、全く同じではなく、随所にさらに改良が加えられているようだ。まずはその改良版イントロからスタート、アルバム「コンピューター・ワールド」からの”Numbers”,”Computer World”,”It’s More Fun To Compute”が披露された。

※下の画像は2013年撮影のもの。

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ちなみに、2013公演では、たしか3日目か4日目からスマホ撮影は解禁されたが、今回は完全に撮影不可。客席を完全に暗くして、3D効果を充分に体感するためには必要だったと思われる。

次はアルバム「人間解体」から”Spacelab”,”The Model”,”Neon Lights”。
”Spacelab”での宇宙船ビジュアルは前回と似ているが、円盤がGoogleMap上から、大阪の上空を飛行し、フェスティバルホール前道路に着地した映像は面白かった。

Neon Lights”は、様々なカフェやホテルのネオンサインが3Dで表示され、磨き抜かれたサウンドと相まって実に心地よかった。

そして初期の名曲「アウトバーン」へ。オリジナルアルバムは20分を超える大作だが、10分弱くらいに編集されたバージョン。ただ、カットされているオリジナルのラスト部分が自分としてはいちばん気持ちいいクライマックスなんですよね。時間の関係上仕方ないですが。ただしそのラストモチーフもちらっと演奏されていた。
※下の画像は2013年撮影のもの。

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続いては、”Radioactivity 放射能”。2011年福島原発事故を受けて、この曲が大幅に変わったのはファンならご存知の通り。日本語で歌われる歌詞1番の部分は、オリジナルアルバムのアレンジに近く、歌詞2番はリミックスアルバムのそれに近い。

※下の画像は2013年撮影のもの。

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ここで”Techno Pop”から”Electric
Café”が演奏、”ツールド・フランス“の70年代バージョンへと続く。ツールド・フランスは、テクノポップのリリース時期にアルバムになる話もあったらしいが、結局当時1曲で終わったとの話も聞く。だが、時を経て21世紀に入り、新たにツールド・フランスをテーマにしたコンセプト・アルバムが制作される。この日のライヴで続けて演奏されたのは、その現時点での最新作からまとまって選曲されたいくつかのナンバー。

※下の画像は2013年撮影のもの。

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このアルバムが「クラフトワークっぽくない」という声も散見されるが、乗り物で移動中に聴くと、印象がガラリと変わったんですよね、自分の場合(自転車でなくても可)。そして今回の公演では、最も心地よい部分だったかも。

そして、自分がクラフトワークで最も好きな曲「ヨーロッパ特急(Trans Europe Express/Metal On Metal/Azbug」)!基本的なアレンジは、リミックスアルバムのそれに近い。オリジナルバーションの、蒸気機関車さえイメージさせるシンプルなリズムが実は大好きなのだが、よりパワフルで骨太の今回のバージョンもなかなかいい。ちなみに、普通のメガネの上に3Dメガネをかけることをファンの間では、Metal On Metalをもじって、「メガネ・オン・メガネ」と言うらしい(笑)。
※下の画像は2013年撮影のもの。

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ここでメンバー達が退出。最初のアンコールは、メンバー不在で演奏された”The Robots”。曲の途中で、舞台後方のスクリーンがいったん引っ込み、4人の各メンバーにそっくりのロボットが4体現れて動き出した。ロボットの曲だから、ロボットに演奏させるということなのだろう。これをちゃんと、大真面目にやりきるのがクラフトワーク

喝采の中人間メンバーが再登場、アンコールは大人気曲”Pocket Calcukater/電卓”から、”Aero Dynamik”、”Planet of Visions”、”Boing Boom Tschak/Techno Pop/Music Non Stop”と盛り沢山に締められた。クラフトワークの主要ナンバーは、ほぼ一通り演奏されたのではなかろうか。前回来日にも増して、サウンド・ビジュアル共に完成度の高いステージだった。
※下の画像は2013年撮影のもの。

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時間に余裕があれば一泊して大阪観光と行きたいところだが、そうも言っておられず、帰途は高速バスにて。